世界的に長期金利が急上昇している。東京債券市場でも8日、代表的な指標である新発10年物国債の利回りは一時1.92%と約10カ月ぶりの高水準となった。日銀の利上げが早まるとの観測も強まり、企業活動や個人の暮らしにもじわりと影響を及ぼしつつある。金利上昇は、預貯金などの金利収入増がプラスに働く半面、住宅ローンや企業向け貸し出しの金利引き上げが負担増となってマイナスに働く。景気拡大をけん引してきた企業活動にブレーキをかける可能性もあり、利上げをうかがう日銀にとって、金融政策は慎重なかじ取りが求められそうだ。
市場金利の上昇を受け、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行は11日から、定期預金の金利を引き上げる。預け入れ期間によっては9年ぶりの高水準だが、利用者が多い300万円未満の金利は0.25〜0.75%にとどまる。低金利状態に変わりはなく、恩恵は「広く薄く」となりそうだ。
超低金利下で、投資信託などの金融商品の人気が高まっているが、「金利上昇で、円高などの為替リスクが高まる」(エコノミスト)との見方もある。外貨建て投資信託などで運用している人は、為替相場への目配りも必要だ。
住宅ローンは、既に借りている人、新規に借り入れる人の両方に影響がある。市場金利の状況に応じて半年に1回金利が見直される「変動型」は、主に短期金利の動向に左右される。既にローンを借りている利用者は、返済総額が増えることになる。
契約から完済まで金利が変わらない「固定型」で既に借りている人は今のところ影響はない。ただ、新規の利用者はこれまでより高い金利が適用されそうだ。長期金利の影響を最も受ける固定型の代表格である住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の「フラット35」の金利は、6月まで2カ月連続で上昇。長期金利の高止まりが続けば今後も引き上げが予想されるため、新規利用者は借りるタイミングに頭を悩ましそうだ。
一方、企業向けの貸出金利はじわり上昇。日銀によると、国内銀行の平均約定金利は4月に1.734%と、1年間で3割近く上昇した。「大企業は資金が潤沢で借り入れ需要が少ない」ため、影響は限定的だ。
だが、中小企業の負担は増しそうだ。東京商工会議所が昨年12月に都内の中小企業を調査(回答839社)したところ、借り入れがある企業のうち約4割が金利引き上げの要請に応じ、約8割は「金利が上がれば業績に悪影響」と回答した。今年2月に日銀が利上げしたこともあり、中小企業の利払いはさらに増えている模様だ。